「年収の壁」見直しで、何が、どうなる?

「年収の壁」見直しで、何が、どうなる?
令和8年度税制改正での「年収の壁」引き上げの見込みについて
令和8年度税制改正により、所得税の課税最低限(いわゆる「年収の壁」)が、160万円から178万円に引き上げられる見込みです。
今後、当サイトで「年収の壁」引き上げの最新情報を随時ご案内します。

(ご参考)
財務省「令和8年度税制改正の大綱」(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf
財務省「令和8年度税制改正の大綱概要」(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.pdf

このページでは、次の内容をご確認いただけます。

  • 令和8年分の給与計算への影響(経営者・給与担当者向け)
  • おさらい!「年収の壁」見直しの概要(令和7年度税制改正)
  • 事業者への影響

令和8年分の給与計算への影響(経営者・給与担当者向け)

令和8年分の給与の源泉徴収事務では、従業員の源泉控除対象となる家族の所得要件等が変わります。

  • 変更点を従業員に周知して、令和8年分扶養控除等申告書に源泉控除対象となる家族を漏れなく記載してもらう必要があります。
  • 「源泉控除対象配偶者」および「源泉控除対象親族」の人数を基に、「令和8年分 源泉徴収税額表」を使用して源泉徴収税額を求めます。

令和8年分扶養控除等申告書

令和8年分の扶養控除等申告書は、記載事項が「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」に変更されました。
また、令和7年度の税制改正によって、所得の計算方法が変わっています。

①従来の「控除対象扶養親族」に加えて、19歳~22歳で所得の見積額が58~100万円(年収123~165万円)の親族についても記載することになりました。

次の場合に、同一生計の親族「源泉控除対象親族(16歳以上)(平23.1.1以前生)」欄に記載します。

なお、「源泉控除対象配偶者」欄には、次の場合に、同一生計の配偶者を記載します。

令和8年分扶養控除等申告書(配偶者要件)

(※1)障害者控除を受けられる配偶者と親族の要件は所得58万円以下(年収123万円以下)
(※2)給与収入のみの場合の年収
(※3)本人の令和8年中の所得の見積額が900万円以下の場合に限る

②所得の計算方法が変わりました。(令和7年12月1日施行)

> 給与所得控除額の最低保障額の引き上げ

おさらい!「年収の壁」見直しの概要(令和7年度税制改正)

年収(年間給与収入)と所得の違い

改正の中身に入る前に、まずは混同しやすい言葉「年収(年間給与収入)」と「所得」の違いの確認です。
従業員に改正の内容や年末調整の注意点を説明する際に正しく伝えられるように、あらためてご確認ください。

    • 年収(年間給与収入)
      社会保険料や税金を引かれる前の、会社から支払われる総支給額を年収(年間給与収入)といいます。
      源泉徴収票の「支払金額」欄の金額です。
    • 給与所得
      年収(年間給与収入)から、給与所得者の必要経費である「給与所得控除」を差し引いたものが給与所得です。
      給与以外の所得がなければ、給与所得=合計所得金額となります。
    • 課税所得
      合計所得金額から、基礎控除や生命保険料控除等の所得控除額を差し引いたものが課税所得です。
      課税所得に税率を掛けて所得税を算出します。

    改正内容

    主な改正内容は次のとおりです。
    ※法令改正の施行日は令和7年12月1日です。詳細は、国税庁ホームページの「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」をご確認ください。

    給与所得控除の引き上げ(所得税・住民税共通)

    給与所得控除の最低保障額が 55万円 ➡ 65万円 に引き上げられました。

    • 令和6年まで
      給与所得控除の最低保障額 = 55万円
    • 令和7年から
      給与所得控除の最低保障額 = 65万円(年収 162.5万円以下の場合は+10万円)
    給与所得控除の引き上げ(所得税・住民税共通)

    基礎控除の引き上げ(所得税)

    ①合計所得金額が 2,350万円以下の場合、基礎控除が 48万円 ➡ 58万円 に引き上げられました。

      • 令和6年まで
        基礎控除 = 48万円
      • 令和7年から
        基礎控除 = 58万円(+10万円)

      ②合計所得金額が 132万円以下の場合は、上記①の引き上げ額に 37万円 上乗せされ、基礎控除が 58万円 + 37万円 = 95万円 になります。(恒久的措置)

      • 令和6年まで
        基礎控除 = 48万円
      • 令和7年から
        基礎控除 = 58万円 + 上乗せ額 37万円 = 95万円(+47万円)

      ③合計所得金額が 132万円超 655万円以下の場合は、上記①の引き上げ額に 5万円 ~ 30万円 上乗せされ、基礎控除が 58万円 + 上乗せ額の合計金額 になります。(令和7年・8年限定の時限措置)

      • 令和6年まで
        基礎控除 = 48万円
      • 令和7年から
        基礎控除 = 58万円 + 上乗せ額(5万円 ~ 30万円) = 63万円 ~ 88万円(+15万円 ~ +40万円)

      基礎控除の引き上げ(所得税)

      給与所得控除基礎控除の引き上げを合わせて、所得税がかからない年収、いわゆる「年収103万円の壁」が「年収160万円の壁」になります(+57万円)。

      令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等(年収の壁103万→160万)


      従業員本人だけではなく、従業員が扶養する配偶者・親族の控除についても税制改正があります。
      これによって、従業員が扶養する配偶者・親族の控除を受けるための「年収の壁」も変わります。

      扶養控除等の所得要件の改正

      ①給与所得控除の最低保障額が 55万円 ➡ 65万円 に引き上げられました。

      • 令和6年まで
        必要経費に算入する金額の最低保障額 = 55万円
      • 令和7年から
        必要経費に算入する金額の最低保障額 = 65万円(+10万円)

      ②基礎控除の改正にともない、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件が緩和されました。

       扶養親族及び同一生計配偶者の場合 または ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の場合

      • 令和6年まで
        基礎控除 = 48万円
      • 令和7年から
        基礎控除 = 58万円(+10万円)

      給与所得控除の引き上げ所得要件の緩和を合わせて、扶養控除の年収の壁は、103万円 ➡ 123万円 になります。(+20万円)

      扶養控除等の所得要件(改正前・改正後)

      特定親族特別控除の創設

      新たに「特定親族特別控除」が創設され、19歳~22歳の大学生世代の子供を持つ親が受けられる控除について、子供の所得要件が大幅に緩和されました。

      扶養控除等の所得要件の改正特定親族特別控除の創設により、特定扶養控除相当額(63万円)の控除を受けられる従業員の19歳~22歳の子供の年収の壁は、103万円 ➡ 150万円になりました(+47万円)。
      また、19歳~22歳の子供の年収が 150万円超 188万円以下の場合も一定の控除を受けられるようになりました。

      特定親族特別控除(新設)に伴う改正前・改正後

      事業者への影響

      「年収の壁」が入れ替わります。「社会保険の年収の壁」を超えた場合の影響もご確認ください!

      今回の改正で「所得税の年収の壁」が 103万円 ➡ 160万円 になったこと、また、「扶養控除の年収の壁」が 103万円 ➡ 123万円 になったことで、これまで 103万円 を意識して就労調整していた従業員が労働時間を増やす可能性があります。

      従業員の年収が増えると、一定の条件の下、従業員に社会保険への加入義務が生じたり、配偶者等の社会保険の扶養から外れて従業員自身が国民健康保険・国民年金に加入する義務が生じたりします。これが「社会保険の年収の壁」です。
      今回の改正によって、年収が増えていくと、従業員は「所得税の年収の壁」よりも先に「社会保険の年収の壁」の影響を受けることになります。

      従業員が51人以上の企業の「年収の壁」

      従業員が51人以上の企業の「年収の壁」(改正前・改正後)

      (※1)「106万円の壁」を越えて以下の要件を満たす場合、その従業員には社会保険の加入義務が生じます。
         ・週の所定労働時間が20時間以上、・2か月を超えて働く予定がある、・学生ではない、
         ・賃金が月額 8万8,000円以上(年収計算で約106万円、残業代・賞与・通勤手当・臨時の手当は含まない)

      (参考)
      • 「106万円の壁」を越えた場合の社会保険料の負担増
        (例)協会けんぽの場合
           年額 約14万8,800円 月額 約1万2,400円(介護保険料なし、社保の標準報酬月額 8万8,000円、協会けんぽ栃木県で試算)
           →手取りを減らさないようにするには 年収 120万8,800円必要
           →事業者が負担する社会保険料も同額増えます。
      • 「110万円の壁」を越えた場合の住民税の負担増
        年額 7,200円 月額 600円(年収 111万円、均等割額 4,700円、所得割率 10%、森林環境税 1,000円で試算)
      • 「160万円の壁」を越えた場合の所得税の負担増
        年額 2,500円 月額 200円(年収 165万円で試算)

      従業員が50人以下の企業の「年収の壁」

      従業員が50人以下の企業の「年収の壁」
      (※2)配偶者等が加入する社会保険の扶養に入っている従業員は、年収が 130万円 を越えると、配偶者等の社会保険の扶養から外れます。
      そのため、従業員自身で「会社の社会保険」または「国民健康保険・国民年金」に加入する必要があります。
      (※3)2025年10月1日以降、19歳以上23歳未満(扶養認定日が属する年の12月31日時点)の方について、健康保険の被扶養者認定における年間収入要件が130万円未満から150万円未満に変更されました。
      これにより、19歳~22歳で年収150万円未満の場合は被扶養者になれます。年収が150万円以上になると被扶養者から外れ、自身で「会社の社会保険」または「国民健康保険・国民年金」に加入する必要があります。
      詳細はこちらをご確認ください。
      (参考)
      • 「110万円の壁」を越えた場合の住民税の負担増
        年額 7,200円 月額 600円(年収 111万円、均等割額 4,700円、所得割率 10%、森林環境税 1,000円で試算)
      • 「130万円の壁」を越えた場合の社会保険料の負担増
        (例)協会けんぽの場合
           年額 約18万6,000円 月額 約1万5,000円(介護保険料なし、社保の標準報酬月額 11万円、協会けんぽ栃木県で試算)
           →手取りを減らさないようにするには 年収 148万6,000円必要
           →事業者が負担する社会保険料も同額増えます。
        (例)国民健康保険、国民年金の場合
           国民健康保険年額 約8万2,800円(月額 約6,900円)(※1)、国民年金年額 約21万200円(月額 約1万7,600円)(※2)
           合計年額 約29万3,000円 月額 約2万4,500
           →手取りを減らさないようにするには 年収 159万3,000円必要
          (※1)宇都宮市の国民健康保険税を元に試算(https://www.city.utsunomiya.lg.jp/kurashi/hokennenkin/kokuho/1003765.html
          (※2)国民年金の保険料(https://www.city.utsunomiya.lg.jp/kurashi/hokennenkin/nenkin/1003791.html
      • 「160万円の壁」を越えた場合の所得税の負担増
        年額 2,500円 月額 200円(年収 165万円 で試算)

      特に「社会保険の年収の壁」を超えた場合の社会保険料の負担は大きいため、所得税や扶養控除の年収の壁の改正内容と併せて、早期に従業員への案内が必要です。それぞれの「年収の壁」を超えた影響を従業員に理解してもらったうえで、どのくらい働くか確認しましょう。

      社会保険に加入すると、社会保険料を支払うことで手取りが減る可能性がありますが、従業員には将来もらえる年金額が増える・病気等の際に給付金が受け取れる等の長期的なメリットもあります。従業員が総合的に判断できるように情報提供することが重要です。
      厚生労働省の「社会保険適用拡大 特設サイト」に、事業者向けの資料や従業員向けの社会保険加入に関する案内がまとめられています。必要に応じてご確認ください。

      自社の手当等を見直す必要があるか検討

      従業員に住宅手当や家族手当等を支給している場合、自社の手当等について確認し、支給条件を見直す必要があるか検討しましょう。
      福利厚生制度や給与規定等の見直しが必要となる場合もあります。早めに対応して、従業員に周知することをおすすめします。

      (例)
      • 扶養親族に当たる家族を家族手当の支給対象としている場合
        「扶養控除の年収の壁」が 103万円123万円 になったことで、手当の支給対象者が増える可能性があります。
        手当の支給対象の範囲が広がることを従業員に周知しましょう。
      • 給与所得○○円以下」等、従業員本人や家族の所得を支給条件にしている場合
        給与所得控除が 55万円65万円 に10万円引き上げられたため、手当の支給対象者が増える可能性があります。
        手当の支給対象の範囲が広がることを従業員に周知しましょう。
        また、所得要件の改正に合わせて、支給条件「給与所得○○円以下」の金額を引き上げる等、検討しましょう。
      • 収入○○円以下」等、家族の収入を支給条件にしている場合
        今回の改正の影響で、従業員の家族がより多く働くようになり収入が増えると、手当の支給対象から外れる可能性があります。
        年収の壁の見直しに合わせて、支給条件「収入○○円以下」の金額を引き上げる等、検討しましょう。

      TKCの給与計算システムは、複雑な制度改正で煩雑になる年末調整事務の負荷を軽減します

      あとどれくらい働けるかを確認
      • 「パートやアルバイトへの支給累計額」「配偶者控除の年収の壁までの余裕額」「社会保険の年収の壁までの余裕額」を確認できます。
      • 従業員が就労調整する際の参考情報として、給与明細に1月からの課税支給額合計を表示できます。
      • 社会保険の短時間労働者に該当しそうな人を確認できる機能もあります。
      年末調整の注意点を従業員に案内
      • 扶養控除等申告書等の記載方法の注意点をまとめた「従業員向けの資料」をご用意します。(検討中)
      正しい年末調整計算をサポート
      • 従業員が申告した所得を入力することで、控除額を自動計算します。
      • 改正後の内容にもとづいて自動で年末調整計算します。
      年末調整の電子化で会社全体の生産性向上
      • TKCまいポータルやPXまいポータルを利用して年末調整計算を電子化すると、年末調整に関する申告書等をWebで手間なく配付・回収できます。
      • 従業員が画面の案内に沿って入力した内容をシステムがチェックします。また、入力した給与収入や公的年金収入にもとづき、所得と控除額を自動で正しく計算します。
      • 従業員から提出された申告書のデータを年末調整計算に利用できるため、給与担当者の入力作業を省力化できます。

      年末調整の困ったを解決する「TKCまいポータル」のご紹介

      年末調整事務の負担を軽減したい給与担当のみなさまへ

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